第4回 自然と共に〜電気・エネルギー編〜

 10月到来。吾妻山頂の木々が色彩豊かに色づき、次第に滝見屋全体が甘い匂いに包まれる月。私が勝手に「紅葉の匂い」と名づけているこの香りはきっとあちらこちらでたくさん実る山葡萄が放つ匂いなんだと思います。この匂いが感じられる季節になると、私達は早くも一年を締めくくるためラストスパートの時期となります。

 

 さて、今回は滝見屋の電気のことを少し。滝見屋手前10キロ弱の所で東北電力さんの電気供給が終わっているので、当館では現在も2台の発電機(30キロ)を一台ずつ1日交互に運転をし、発電しています。1.52日で約110リットルの軽油を使用。この量が多いのか少ないのか分かりませんが、お客様をお迎えするため電気も自給自足で提供する心意気。シーズン中はほぼ毎朝20リットル容器に小分けに入れて地道に運んでいます。今の時代、電気は私たちの生活において無くてはならないものですので、山の中でふいに電気が消え使えなくなった時の不安と暗さは想像以上です。

 

(2007年 4月29日 シーズン初日の日記より)

 午前0:30頃、代表(母)が慌てて自宅に戻る。温泉の発電機が完全に停止したらしい。私達ではどうにもならないので、高畠在住の職人さんに助けを求めると、真夜中に拘わらずすぐ来てくれるとのこと。2:00頃到着(現地気温4℃)後、屋外にある発電機小屋での3時間の修理作業。何とか無事復旧。午前5:00を回っていたが満員のお客様は未だ就寝中。発電機停止に気づかれずにぎりぎり作業終了。よかった!・・・

 

 山の中にいてスイッチ一つの機械に依存し過ぎる危険に気づかグラフィックス5.jpgされた一件です。この日から大分時間が経ちますが、未だ体制は変わっておらず、この環境にいるからこそランプや火の光を楽しみ

見直す環境を作りたいな、ふふふと思案中の昨今です。

 

 

(コラム)秘湯と地熱開発

 国の施策がCO2を排出しない自然エネルギーの導入拡大に向かっていることは皆さんに申すまでもないことですが、国立公園内に温泉を持つ私達にとって国の地熱エネルギー開発動向は戦々恐々とするものです。なぜなら「地熱発電に関する研究会」(経済産業省)では、150℃以上の高温帯の熱水や蒸気による発電だけでなく、およそ40℃以上から温泉熱を利用する「温泉発電」や、熱水の下限温度が53℃と低くても利用可能な「カリーナサイクル式バイナリ発電」などの導入拡大を検討中だからです。

 さらに地下熱源の中でも特に大規模な地熱発電が可能な150℃以上の熱水地域は、その約82%が秘湯の点在する「国立公園特別保護地区・特別地域内」にあることが分かっており、行政刷新会議(内閣府)のW・Gは、開発拡大すべく「自然公園法」・「温泉法」等に関して開発緩和できる改定を行えるよう、すでに環境省に働きかけているようです。地域に地熱発電所を既に抱えている温泉地では大深度の掘削や試掘によって豊富だった自然湧出泉が枯水期に枯渇する兆候が顕著に現れており、吾妻地域をはじめ、今後調査地域となることが決定している全国にある仲間の秘湯宿の自然や温泉などへの影響がとても心配されます。